排泄介助の手順と注意点をまとめてみた
介護現場で行われる介助にトイレがあります。排泄(トイレ)の介助は、介助の回数も多く、時間も集中していることが多いので大変と感じる方も多いのではないでしょうか?トイレは、ご利用者様にとっては恥ずかしいデリケートな部分のため自尊心を傷つけない介助が必要です。そこで今回は、排泄介助(トイレ介助)の基本的な手順と介助ポイント、注意点までまとめてご紹介します。
排泄(トイレ)介助の基本的な手順について
介護スタッフによる排泄(トイレ)の介助は、ご利用者様にとって恥ずかしいデリケートな部分です。そのため、できるだけご利用者様の「自尊心を傷つけない」ようにスムーズに介助する必要があります。そこでまず、排泄介助(トイレ介助)の基本的な手順を理解しておきましょう。
トイレ介助の基本的な手順
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車椅子の場合は、事前にトイレ内のスペースを確認する
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本人に手すり、または介助者の肩を握ってもらう。
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立ち上がる場合は、介助者が声かけをしてから立ち上がる。
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立ち上がり、立位を保持してから方向転換を行う。
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手すり、または介助者の肩を握ったままズボンと下着を下ろす。
※できるだけ本人に下ろしてもらうこと。 -
ゆっくりとお辞儀をするように便座に座る。
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座位保持が安定している場合は、介助者は、排泄・排便中は一旦トイレの外にでる。または、カーテンの外で待つ。
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排泄終了後のコールや合図があったら介助者が再びトイレに入る。
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トイレットペーパーを取っていただきお尻をふく。
※できるだけ本人にお尻を拭いてもらうこと。 -
健康状態の確認のため、介助者はさりげなく排泄物の状態を観察する。
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排泄物を流す。
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車椅子→トイレと逆の流れでズボン・下着の着脱、立ち上がり、移乗介助を行う。
排泄(トイレ)介助のポイント
トイレでの排泄介助では、どのようなことを意識すると良いのでしょうか?
ここでは排泄(トイレ)の介助を行うスタッフに必ず知っておいていただきたい基本的なポイントを4つご紹介します。
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安全面に配慮するトイレは、目を離した隙に転倒や転落が起こりやすい場所でもあります。まずは安全面に注意することが重要です。介助のポイントは、トイレに座った時や立っている時に手すりをしっかりと握ってもらうことです。また、ご利用者様と息を合わせるために「今からズボンを下げますね」などと介助することについて声かけをしましょう。さらに、車椅子のフットレストで足をぶつけないようにできれば折りたたんで横に置いておくなどの配慮も重要なポイントです。
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自尊心を傷つけない声かけ加齢と共に、尿感覚が近くなったり、失禁してしまうことが多くなります。介助者は、何度もトイレ誘導したのにとイライラした態度や声かけをしまはいけません。本人が安心してトイレに行けるように優しく声かけをしましょう。また、スタッフが近くにいると緊張して排泄できないなどプライバシーに配慮してカーテンを閉めることも重要です。
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健康状態の確認排泄物の確認は健康状態を把握するために重要です。また、お尻や陰部などの皮膚の状態を観察することもトイレ介助(排泄介助)での重要なポイントです。本人に配慮するため素早く、且つさりげなく観察するようにしましょう。
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できるだけ自分でしてもらうトイレでの排泄介助は、デリケートな部分のためできることならご自分の力で取り組んでもらうように促すことが重要なポイントです。両脇を介助するのでズボンの上げ下げは自分でしてもらう、大便がうまく拭けない方はウォシュレットを提案する、トイレットペーパーは自分で取ってもらうといった小さなことでも構いません。
排泄(トイレ)介助をする上での注意点
デイサービスなどの介護現場で特に苦労するのが排泄介助(トイレ介助)です。そんなトイレでの介助では、どのようなことに注意していけば良いのでしょうか?
介護スタッフが注意しなければならないトイレ介助の注意点を「3つ」ご紹介します。
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自尊心を傷つけないトイレでの排泄介助を長年してもらっている方でも下の世話をしてもらうのは誰しも嫌なことです。妻や夫に介助されることも嫌だと思う方も少なくありません。排泄動作を見られるのは、年齢に関係なくもちろん情けないと感じます。トイレ介助をしている時の声かけやおむつの付け外し中は特に注意が必要です。
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トイレを急かさない何度もトイレに行きたいと訴える方に限って、トイレに座ってもなかなか出ないことがありませんか?そんな時ほど「さっきも行ったからでしょ」「まだ出ませんか?」など急がせるような声かけや態度をしてはいけません。近くでじっと見つけられているから緊張して出ないことだってあるのです。
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全て介助しない時間がないから、危ないからといって全て介助するのはやめましょう。できるだけ自分の力でトイレができるように手すりを持ってもらったり、両脇を支えて自分でズボンの着脱をしてもらうようにしましょう。全て介助してしまうとトイレの習慣がより失われてしまいます。また、少し尿もれがあるからといってオムツにするのもやめましょう。おしっこを我慢する膀胱括約筋などが衰えてしまう可能性があります。
排泄(トイレ)介助でスタッフが悩むこととは?
私たちスタッフが排泄介助(トイレ介助)を行う場合は、日頃から自尊心を傷つけないように配慮したり、できるだけ自分の力でトイレができるように環境を調整したり、水分摂取を促したりとできるだけの配慮をしています。しかしながら、デイサービスなどの介護現場では「自宅に着いてから家族の負担がないように」帰宅前に多くのご利用者様をトイレに誘導します。そのため、時間帯が混み合い、帰宅時のトイレ介助をするスタッフは大変です!
一般的に紹介している排泄介助(トイレ介助)の方法は、忙しい介護現場ではうまくいかないと感じているスタッフも多いのではないでしょうか?
私が働いていた現場では、4つの排泄(トイレ)介助の悩みを抱えていました。
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トイレが長引いてしまう食事前や送迎前など急いでいるときに限って一人ひとりのトイレが長引いてしまう。
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頻尿、残尿感があるさっきトイレに行ったはずなのにまたトイレに行きたいと言われる。
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失禁してしまうトイレに間に合わず失禁してしまった後に気づく。
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トイレの環境が狭く介助しにくいしっかりと支えたいけど、場所が狭く介助の姿勢がキツイ。
排泄(トイレ)介助の「悩みの原因」と「ポイント」について
このようなスタッフのお悩みを少しでも楽にするためにも、ご利用者様に気持よくトイレに行っていただくためにも、それぞれのトイレ介助(排泄介助)のお悩みの原因とポイントをご紹介していきます!
トイレが長くなる場合
まずトイレでの排泄介助の中でも、「トイレの時間が長い場合」の原因と介助のポイントをご紹介していきます。
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姿勢の問題猫背の姿勢では、直腸と肛門のなす角度が鋭角で、直腸に便が溜りやすくなります。
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環境・精神的な問題排泄をしようとするときに近くに人がいると出にくくなります。排便・排尿反射は副交感神経優位に活性化し、交感神経は抑制的に働くためです。
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その他の問題内服薬の副作用や疾患の影響も考えられます。その場合は、医師や看護師に確認しておきましょう。
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前屈の姿勢を促す便座に座った状態でやや体を前屈させることで、直腸と肛門のなす角度が鈍角になり便が出やすくなります。具体的には、両肘を太ももの上に置くような姿勢を促しましょう。
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リラックスできる環境を作るあまりにも近くにスタッフがいると緊張してしまい排尿・排便ができない可能性があります。介助がないと倒れてしまう場合は別ですが、男子のトイレとトイレの距離である「75〜80cm」を空けるように意識することでリラックスできます。
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内服薬を調整する便秘症などの場合は内服薬で調整しましょう。その場合は、医師や看護師に確認しておきましょう。
頻尿・残尿感がある場合
次に、トイレでの排泄介助の中でも、「頻尿や残尿感がある場合」の原因と介助のポイントをご紹介します。
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蓄尿障害(我慢できない)の問題排尿筋が過活動や不活動を起こすことで蓄尿が不安定になります。また、膀胱弾力性が低下したり、膀胱容量の萎縮、尿道括約筋の不全なども原因の1つです。
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排出障害(出し切れない)の問題主な原因に前立腺肥大症があります。※その他にも排尿の異常には、頻尿や残尿感がある、おしっこが出づらい、蓄尿時や排尿時の痛み、尿意に気づきにくいなどがあります。その場合は、医師や看護師に報告しておきましょう。
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加齢の問題女性の場合は、尿道の変形や骨盤底筋群の低下が起こりやすく、腹圧がかかった時の尿漏れやトイレまで我慢ができないことがあります。男性の場合は、加齢に伴って前立腺が肥大化する可能性があります。前立腺が肥大化すると尿道を狭窄し、尿が出にくいため残尿感を引き起こします。
失禁してしまう場合
次に、トイレでの排泄介助の中でも「失禁してしまう場合」の原因と介助のポイントについてご紹介します。
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蓄尿障害(我慢できない)の問題排尿筋が過活動や不活動を起こすことで蓄尿が不安定になります。また、膀胱弾力性の低下したり、膀胱容量の萎縮、尿道括約筋の不全なども原因の1つです。
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加齢の問題女性の場合は、尿道の変化や骨盤底筋群が弱くなり、笑った瞬間やくしゃみの瞬間に失禁してしまうことがあります。
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認知機能の低下の問題認知機能が低下すると、排尿や排便のサインを見逃しやすくなります。※失禁は、頻尿や残尿感でもご紹介した原因もあります。
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定時排尿誘導をする尿意を訴えない人や排尿のパターンがはっきりしない方は、決まった時間にトイレの誘導を行いましょう。
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習慣化排尿誘導をする排尿を我慢することができる方には、「朝食後に行きましょう」などとトイレの誘導を行いましょう。
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排尿自覚刺激をする尿意を微かに感じる方には、尿意を感じたら教えていただくようにし、成功した時に喜び・賞賛を分かち合う誘導を行いましょう。
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